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「ありそうでなかったこだわりのサンドウィッチ」を創る ― 世界の料理を知る肉の巨匠、和知徹の挑戦

「café 1886 at Bosch」の看板メニューといえば、グルメサンドウィッチ。実はこのサンドウィッチもドイツを意識したメニューのひとつで、具材にもパンにもこだわっています。このサンドウィッチを監修している人こそ、肉シェフとして知られる銀座の名店「マルディ・グラ」のオーナーシェフ、和知徹なのです。

食卓を華やかに彩る肉料理

和知さんは普段、新橋駅からほど近い場所にある、まるで隠れ家のような店で世界中の肉料理を和知流にアレンジして振舞っています。肉好きの間で知らぬ者はいないほどの名シェフ。お店は和知さんの肉料理に舌鼓を打つ人で溢れ、連日大盛況です。

和知さんは、そもそもフランス料理が専門分野。フランス料理には肉料理のバリエーションが多く、和知さん自身がもともと肉好きだったこともあり、いつしか肉料理を極めるようになったそう。

肉への思いは、いつしか彼を“肉旅”へと誘うようになりました。世界中の肉を巡る旅。その地に根付いた肉料理をひたすら食べて、食べて、ひたすら食べては舌に記憶させ、和知さんというフィルターをとおし、新たな料理に昇華させるのが目的です。

和知さん「ヨーロッパは肉食文化。ボッシュの本社があるドイツもそうですが、古くから食べ継がれている肉料理が非常に多いんです。そんな肉料理への理解を深めるためには、源流を遡る必要があると感じ、18歳から“肉旅”を始めたんですよ。」

では、なぜ和知さんは肉料理にこだわるのでしょうか。それは、料理の本当の楽しさは「出来上がった料理を様々な飲み物と組み合わせて、誰かと食卓を囲んで食べる」ことにあると考えているからです。

和知さん「飲み物を合わせることによって、食卓が華やいだり、食事が一層楽しくなったりっていう相乗効果が得られる、それが肉料理だと思うんですよね。何と言っても、魚料理に比べて、合わせられる飲み物が断然多い。ビールだって、ワインだって、何だって合うでしょ?」

誰かと一緒に、様々な種類の飲み物と共に食卓を囲む ―。

和知さんは、“華やかな食卓”を演出できる肉料理をつくることに心血を注いでいます。


「ありそうでなかった」サンドウィッチを創ろう

そんな和知さんがこのカフェのグルメサンドウィッチをつくることになったのは、私たちから熱烈にオファーしたことがきっかけでした。

和知さん「最初は受けるか迷いました。メニュー監修なんてやったことないし、自分にできるだろうかって不安だったんです。でも、思い返すと、初めての肉旅はドイツだったし、これも何かのご縁なのかもなって。」

加えて、ボッシュの理念や私たちのカフェ創設への思いにも共感してくださいました。

私たち、ボッシュがカフェを日本につくったのは、ヨーロッパのカフェのような地域のコミュニティになりたいという思いがあり、誰かと誰かを繋ぐ場になることで、地域貢献をしていく場を提供したいと考えました。

そんなカフェには、和知さんのような本物を創るこだわりのある世界を知るシェフが創る料理が必要でした。

私たちが和知さんにお願いしたのは「パンを使った料理」。

和知さん「だったらサンドウィッチでしょって。日本人にとっておにぎりがソウルフードなように、ドイツ人にとってはサンドウィッチがソウルフード。ドイツの伝統を大事にしつつ、現代の日本を生きている人たちに受け入れられるサンドウィッチを創ろうと思いました。」

あえて奇をてらった具材のサンドウィッチをつくるのではなく、親しみのある具材をきちんと選定した素材で、新しい定番を提案するようなサンドウィッチ。和知さんは、それこそが求められているサンドウィッチだと考えました。

キーワードは、「ありそうでなかったもの」。

こうして、私たちと和知さんによる、グルメサンドウィッチの開発が始まったのです。


ドイツらしさと日本人好みを融合したグルメサンドウィッチの誕生

実は、「café 1886 at Bosch」のグルメサンドウィッチに使っているパンは仕入れではなく、独自に開発したオリジナルのパンです。

ドイツを意識したカフェ独自のサンドウィッチを創る、ということで和知さんとの協同作業が始まりました。ドイツ人が好むパンと日本人が好むパンは異なります。まずはパンづくりのための研究、開発からスタートしました。

ドイツと言えば、ライ麦入りの黒パン。ずっしりしていて、独特の酸味があり、噛みごたえのあるパンが好まれます。この酸味が、ドイツ人が大好きなビールやワインとよく合います。

一方、日本人はやわらかめで甘みのあるパンを好みます。つまりドイツのパンをそのまま使っても受け入れられにくいことが想定されました。そこで、日本のパン職人と一緒に、上記のようなドイツのパンをリスペクトしたうえで開発したのが、グルメサンドウィッチのパンなのです。

和知さん「ドイツ人が好むような噛みごたえのある黒パンも用意していますが、もう少し歯切れのいい、おやつ感覚で食べられる軽めのパンも用意しています。具材によって使い分けてラインナップしていますので、そこらへんも楽しんでもらいたいですね。」

具材は、ドイツらしいカツレツから、ラタトゥイユなど野菜のみを使用したベジタリアンメニューまで様々。そこに使用しているパンは、一番軽くてやわらかい白パンから、あっさり軽いフォッカチャ、噛みごたえも食べ応えもある黒パンまであります。

和知さん「カフェは、お客様が思い思いに利用しているものです。なので、そこに合うものを提供したいなって。『何これ!?』って驚かせるんじゃなくて、特別感があって、食べたらちゃんとおいしい。人懐っこさはあるけど上質なものになるように考えています。」

カフェは人の生活に寄り添うもの。だからこそ、そこで提供するメニューは、その人の懐にふっと入り込むものがいいと和知さんは考えています。


どの時代でも変わらぬおいしさを保つために、常に探求し続ける

和知さんは普段どのようにメニューを考えているのでしょうか。

和知さん「机に座って、何にしようかなって考えてもひねり出せないんですよね。そうじゃなくて、常に考えているんです。日々の生活で食べたものや見聞きしたものをインプットして、それらがあるときギューっとまとまって一つのメニューになる。」

そこに、旬の素材やその時代の流行りの食材を取り入れ、その時代に合わせた料理を企画していくそう。。

また、意外にも、和知さんはよくスーパーに行くのだそう。世の中の人がいまどういう生活をしているのか、どのような嗜好なのかがよく反映されているので、いま何がトレンドなのか、次は何がくるのかを予想するいい参考になるのだそう。

また食べ合わせについても、もちろん考慮しています。グルメサンドウィッチでは特に「ビールに合う」ことを意識したそうです。

「ドイツ人ってものすごくビールを飲むイメージがありますからね」と和知さん。発酵してつくられるビールに合うよう、ちょっと酸味があったり、スパイシーだったり、燻製のようなスモーキーさがあったり。そんな要素を散りばめるよう意識しているのです。

和知さん「イメージは、気軽に寄って、ちょっとビールを飲みながらグルメサンドウィッチを食べる感じ。その飲み物がコーヒーやワインに変わっても合うよう、ニュートラルさを意識しています。それでいて、このカフェでしか食べられない上質な逸品。」

世界各国を食べて巡った和知さんだからこそ見えたドイツらしさと日本らしさを融合した「café 1886 at Bosch」のグルメサンドウィッチ。

その高いクオリティを保つために、実は、オープン当時からあるメニューも随時ブラッシュアップしています。変わらないおいしさを届けるために私たちと和知さんの挑戦はこれからも続きます。


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